日本配備向け初のF-15EX、ボーイングのセントルイス工場を出発
米空軍が日本に常駐配備する予定の初号機となるF-15EX イーグルIIが、2026年8月28日、ボーイングのセントルイス生産施設を出発した。機体はまず、オレゴン州ポートランド空軍州兵基地へ移され、追加の準備や改修を行った後、日本の沖縄・嘉手納空軍基地へ向かう予定だ。
嘉手納空軍基地の発表によると、F-15EXの嘉手納への到着は2027会計年度から始まる見通しだ。今回の移動は、ローテーション展開が中心だった嘉手納の戦闘機戦力を、米空軍の最新鋭イーグル系機種へ更新する取り組みの第一歩と位置づけられる。
F-15EXの嘉手納配備と日米安全保障協力
F-15EXは、従来のF-15C/Dを後継する機種として開発された多用途戦闘機だ。嘉手納への配備は、航空自衛隊の戦闘機を直接置き換える事業ではなく、日本国内に展開する米空軍の常駐戦闘機戦力を近代化する措置である点に注意が必要だ。
米空軍は2026年6月、試験評価用のF-15EXを嘉手納に派遣し、現地の操縦士や整備要員、任務支援要員を対象に統合訓練と習熟訓練を実施した。嘉手納空軍基地は、この訓練について、将来的な長期運用に向けて戦術、整備手順、兵站支援体制を確認することが目的だと説明している。
嘉手納は東シナ海や西太平洋に近い重要拠点だ。F-15EXの常駐配備により、米空軍の展開準備態勢が強化され、日米同盟の航空作戦能力と抑止力を補強する役割を担うことが期待されている。
最新レーダーと電子戦システムを備えるF-15EX
米空軍の予算資料によると、F-15EXは複座型のF-15QAをベースに開発され、イーグル・パッシブ/アクティブ警報・生存性システムであるEPAWSSや、米空軍の最新任務ソフトウェアを搭載する。デジタル飛行制御、オープン・ミッション・システム、近代化されたコックピットも主な特徴だ。
ボーイングは、F-15EXについて、アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーと電子戦システムを基盤に、制空、長距離打撃、スタンドオフ兵器の運用など多様な任務に対応できると説明している。大量の兵装を搭載できる能力と長い航続距離は、F-35のような低被探知性戦闘機を補完する要素とされる。
ただし、F-15EXはステルス戦闘機ではない。そのため、敵の防空網に深く侵入するよりも、長距離ミサイルの運用、ネットワークを基盤とした指揮・統制、大規模な兵装投射といった任務で強みを発揮するプラットフォームと見るのが適切だ。
長期的な兵站支援と運用コストが主要課題
F-15EX計画の持続可能性は、単純な機体価格ではなく、長期運用と兵站支援体制をいかに構築するかにかかっている。米国防総省の2023年事業資料は、F-15EXの総調達予定数を98機とし、運用・支援費用の見積もりが従来計画より増加したと説明している。
米空軍の2027会計年度予算資料には、F-15EX 24機の調達費として、約26億5,672万ドルの兵器システム総費用が計上された。この費用には機体だけでなく、エンジン、レーダー、電子戦装備、初度予備品、訓練・支援機材なども含まれる。
米空軍は、共通部品については従来のF-15兵站システムとインフラを活用し、F-15EX固有の部品については、初期段階ではメーカーによる支援や現地技術支援に依存する形で支援体制を整備している。今後は整備データの蓄積と depot-level整備能力の拡充を進め、メーカーへの依存度を下げることが課題となる。
2027会計年度から本格的な日本配備へ
セントルイスからポートランドへ移された嘉手納配備予定の初号機は、そのまま日本へ展開するわけではない。ポートランド空軍州兵基地で追加装備の搭載と運用準備を終えた後、嘉手納へ移動する段階的な手続きが取られる。
米空軍はF-15EXによって嘉手納の常駐戦闘機戦力を近代化し、インド太平洋地域で長距離空対空兵器や大規模な兵装搭載能力を活用する計画だ。今後の配備ペースと戦力化の進展は、機体の引き渡しスケジュール、現地施設の改修、整備要員の訓練、予備品の確保によって左右される見通しだ。
今回の配備は、F-15EXが米本土の基地を越え、海外の常駐戦力として展開される初の主要事例となる点でも意義がある。一方で、高性能戦闘機の導入効果を維持するには、機体の確保だけでなく、安定した兵站支援と運用予算も確保しなければならないという課題を示している。
よくある質問(FAQ)
F-15EXはいつ日本に到着しますか?
嘉手納空軍基地の発表によると、F-15EXは2027会計年度から嘉手納空軍基地に到着する予定だ。初号機はポートランドで追加の準備手続きを行った後、日本へ移動する。
今回のF-15EXは航空自衛隊に所属しますか?
いいえ。今回の機体は航空自衛隊が導入する戦闘機ではなく、米空軍が沖縄・嘉手納空軍基地に常駐配備する戦闘機だ。
F-15EXはどのような戦闘機ですか?
F-15EXイーグルIIは、従来のF-15系の機体構造をベースに、デジタル飛行制御、最新の任務システム、アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダー、EPAWSS電子戦システムを採用した多用途戦闘機だ。
F-15EXの主な任務は何ですか?
制空、長距離空対空戦闘、スタンドオフ打撃、大型兵装の運用、ネットワークを基盤とした指揮・統制などが主な任務となる。F-35のようなステルス戦闘機を補完する役割も期待されている。
F-15EX計画の持続可能性に関する課題は何ですか?
長期運用に必要な整備・支援費用、F-15EX固有部品のサプライチェーン、メーカーへの依存度、現地整備能力の確保が主な課題だ。米空軍は従来のF-15支援体制を活用しながら、自前の整備能力を段階的に拡充する計画である。