米国、サウジ・オマーン・イラクへの61億ドル規模の武器売却を承認
米国務省は、サウジアラビア、オマーン、イラクを対象とする総額約61億ドルの対外有償軍事援助(FMS)について、議会に通知した。ただし、今回の措置は最終契約の締結ではなく、暫定的な売却承認手続きに当たる。
米国務省の発表を引用した「ブレーキング・ディフェンス」の報道によると、今回通知されたパッケージは、精密誘導兵器、戦車用エンジン、戦闘機の維持・整備支援、ヘリコプターおよび関連装備で構成される。
サウジアラビア、57億5000万ドル規模のパッケージ
取引規模が最も大きいのはサウジアラビアだ。米国はサウジに対し、約50億ドル相当のJDAM-ER誘導キット、爆弾および関連装備を売却する計画を承認した。
提案された物資には、KMU-572誘導キット5004個とKMU-556誘導キット5000個が含まれる。これに加え、500ポンド級のBLU-111爆弾5004発、2000ポンド級のBLU-117爆弾5000発、信管、目標探知装置、支援装備なども盛り込まれている。
JDAMは、通常爆弾に衛星測位と慣性航法に基づく誘導機能を付加する装置だ。JDAM-ERは、従来型より射程を延長した派生型で、米防衛大手のボーイングが主契約企業になるとみられている。
エイブラムス戦車用エンジンも対象
サウジアラビアはこれとは別に、M1エイブラムス戦車に搭載されるAGT-1500エンジン60基を、約7億5000万ドルで購入する計画についても承認を受けた。主契約企業にはハネウェルが挙げられている。
サウジ関連の2件の取引規模は、合わせて57億5000万ドルと見積もられている。米国務省は、これらの売却によってサウジの領土防衛能力が強化され、米国および湾岸地域のパートナーとの作戦上の相互運用性も高まると説明している。
オマーンにはF-16戦闘機の維持・整備支援
オマーンには、約1億8800万ドル規模のF-16戦闘機向け維持・整備支援が提案された。支援内容には、整備・修理、予備部品、技術資料、訓練および関連する兵站支援が含まれる見通しだ。
今回の取引では、特定の民間企業は主契約企業に指定されていない。米政府または今後選定される契約企業が、オマーンによるF-16戦闘機の運用を支援する形で進められる見込みだ。
イラクには1億5000万ドル規模のヘリコプター売却
イラクに対しては、約1億5000万ドル相当のBell 412EPXヘリコプターおよび関連装備の売却が承認された。提案されたパッケージには、通信装備、予備部品、地上支援装備、技術資料、操縦・整備訓練が含まれている。
米国務省は、今回の売却により、兵員や医療・兵站物資を輸送するイラクの空輸能力が向上し、対テロ作戦の遂行能力も強化されると評価している。主契約企業にはベル・テキストロンが挙げられている。
最終契約前に議会審査の手続き
今回の発表は、米政府が海外への武器売却を最終決定したことを意味しない。対外有償軍事援助の通知後、米議会には取引を審査する期間が設けられており、実際の契約交渉では数量や最終金額が変わる可能性がある。
「ブレーキング・ディフェンス」によると、サウジ、オマーン、イラク向け取引の見積額を合計すると約60億8800万ドルとなり、通常の四捨五入では約61億ドルになる。
中東で安全保障協力と武器供給を拡大
今回の措置は、米国が湾岸地域のパートナーの防空、航空作戦、兵站支援能力を維持すると同時に、サウジアラビアとの安全保障協力を強化しようとする動きとみられている。
特にサウジへの大規模な精密誘導兵器の売却は、在庫の補充と作戦継続能力の確保に重点を置いている。ただし、武器供給の拡大が中東の軍事的緊張を緩和するのか、それとも武器競争を加速させるのかは、今後の地域情勢と実際の使用状況に左右される可能性がある。
よくある質問(FAQ)
米国が中東諸国に承認した武器売却の規模は?
サウジアラビア、オマーン、イラク向けに通知された暫定売却額は、合計で約61億ドルに上る。サウジ関連の取引が57億5000万ドルと大半を占めている。
サウジアラビアにはどのような兵器が売却されるのか?
約50億ドル規模のJDAM-ER誘導キット、爆弾、関連装備が含まれる。これとは別に、M1エイブラムス戦車用AGT-1500エンジン60基も、7億5000万ドル規模で提案されている。
JDAM-ERとはどのような兵器か?
JDAM-ERは、通常爆弾に誘導キットを取り付け、精密攻撃を可能にするJDAMの射程延長型だ。誘導キットは、爆弾の飛行経路と目標地点を調整する役割を担う。
オマーンとイラクにはどのような装備が提供されるのか?
オマーンには、F-16戦闘機の維持・整備支援が約1億8800万ドル規模で提案された。イラクには、Bell 412EPXヘリコプターと関連装備が約1億5000万ドル規模で盛り込まれている。
今回の武器売却は最終確定した契約なのか?
いいえ。今回の発表は、米政府による暫定的な売却承認と議会への通知手続きに当たる。議会審査やその後の交渉によって、取引数量や最終金額が変更される可能性がある。