ソウル市によるMBC排除が波紋
ソウル市はMBCの特定報道を「偏向・歪曲」と断じ、庁内向けの報道クリッピングから除外しました。さらに呉世勲市長側は法的告発にまで踏み切り、強硬姿勢を崩していません。
この光景、どこかで見覚えはありませんか。ユン・ゴンヒ氏の出張(海外遊覧)の際、MBC記者を同行取材から排除した事件は有名です。ユン・ゴンヒ氏のMBC嫌いは、今やソウル市長の呉世勲氏に引き継がれ、そのまま受け継がれているかのようです。
特定の報道機関を排除する組織のトップは、それだけ特権意識にとらわれているのでしょう。自らの行政や国政運営の不透明さを指摘するメディアを、強圧的な措置を使ってでも遠ざけようとする、場当たり的な策略にほかなりません。結局のところ、不正が起きざるを得ない構造になってしまいます。
現在の状況とこれまでの経緯
今回の対立は、ソウル市内の主要インフラをめぐる施工不良や安全管理の不備が疑われるとの報道をきっかけに表面化しました。
自らが管轄していた組織の不備について、謙虚に謝罪したり事実を認めたりするのではなく、その事実を報じたメディアを非難する。果たして、それでよいのでしょうか。
- 発端:MBCは5月以降、「GTX-A・サムスン駅区間における鉄筋欠落疑惑」や「ソソムン高架の安全性」の問題を集中的かつ継続的に報じました。とりわけ、ソウル市が施工不良を把握しながら国土交通部への報告を遅らせ、あるいは隠蔽しようとしたのではないかとの疑惑を強く提起しました。
- 呉世勲市長側の法的対応:呉市長の選挙陣営と与党側は、選挙期間中だった5月20日、MBC記者3人と報道局幹部4人を、公職選挙法違反(虚偽事実の公表、選挙の自由の妨害など)の疑いで警察に告発しました。
- ソウル市による行政措置:ソウル市報道官室は6月15日、市長や実務担当の公務員に毎日配布している庁内向け報道クリッピングから、MBCの報道を全面的に除外しました。クリッピングの表紙に「偏向・歪曲報道の媒体を除外」と公式に明記し、MBCを名指しした異例の行政措置です。
双方の主張を比較
ソウル市と報道関係者は、この問題の本質をめぐって完全に対立しています。
| 項目 | ソウル市・呉世勲市長側の主張 | MBC・報道団体側の主張 |
|---|---|---|
| 報道の性格 | 政治的意図を持つ「政言癒着」 – 国土交通部が安全上の問題はないと判断した事案を、選挙期間中だけで70回以上集中的に報じ、選挙に不当に介入した。 |
市民の安全のための「公益報道」 – 複数の内部資料、現場検証、関係者の証言に基づく正当な取材であり、批判は報道機関本来の責務だ。 |
| 措置の正当性 | 庁内参考資料の運用基準の問題 – クリッピングは公務員向けの内部資料にすぎず、事実関係が不明確で公平性を欠く媒体を除外したものだ。 |
行政権力を動員した「報復的なメディア弾圧」 – 言論仲裁などの法的手続きを無視し、地方政府が恣意的な基準で報道機関にレッテルを貼って排除した。 |

現象の分析と論点の整理
①「安全問題」の「政治争点化」と三角関係をめぐる主張
呉世勲市長は今回の報道について、MBC、共に民主党、そして選挙で競り合った鄭元伍(チョン・ウォンオ)候補の陣営が絡む「政治的な三角関係の産物」だと位置づけています。国土交通部の内部情報が野党に流出し、選挙戦の攻撃材料として利用されたという見方です。一方、野党や報道関係者は、ソウル市が行政上の責任を免れるため、施工不良という本質を覆い隠し、政治的陰謀論へと論点をすり替えていると批判しています。
②行政権力による媒体へのレッテル貼りと「口封じ」論争
過去にも、TBS交通放送への支援を廃止する条例案など、党派性をめぐる論争のある放送局に財政的な措置を講じた例はありました。しかし今回のように、一般の地上波放送局の取材報道を理由に、公共機関が公式文書で「偏向媒体」と名指しするのは異例です。ソウル市の記者クラブでさえ、「明確な基準もなく特定媒体を排除したことは、他の報道機関に対する有形無形の取材圧力になり得る」として、公式に遺憾の意を表明しています。
③制度的な手続きの迂回
民主言論市民連合(民言連)などの市民団体は、報道に誤りがある場合には訂正報道請求、言論仲裁委員会への申し立て、民事・刑事訴訟などの正式な制度があるにもかかわらず、それを飛び越えて地方政府が直接、行政上のペナルティーを科すやり方は民主主義の流れに逆行すると指摘しています。
おごり高ぶった政治は、結局ユン・ゴンヒ氏のように没落する
呉世勲市長の今回の強硬な対応には、多くの市民から批判が寄せられています。朝鮮日報、中央日報、東亜日報は、しばしば誤報を出します。ご存じの通り、これらの媒体は一方に偏った狭い視点と基準で、裏付けのない噂やフェイクニュースまで「外れても責任を取らない」姿勢でたびたび発信し、国民を惑わせてきました。それにもかかわらず、彼らを排斥したり、制裁したりすることはありませんでした。
あらゆる報道を受け入れ、批判の内容を検証し、それも国民の知る権利であり意見の一つかもしれないと多様性を認めてこそ、正しい政権だと言えるからです。
MBCであれJTBCであれ、また別の報道機関であれ、自分に不都合な記事を書いたからといって、すべてを政治勢力と結託した腐敗メディアと呼ぶのなら、独裁と何が違うのでしょうか。是非は裁判であれ議論であれ、検証を通じて明らかにすればよいのです。
後ろ暗いところのある人間は、どうしても振る舞いに不自然さが出ます。自分が堂々としており、法の前で正義を貫いているというのなら、メディアを抑圧するのではなく、市民の前で明太均(ミョン・テギュン)氏に関する問題だけでなく、ソウル市政のすべてについて、認めるべきことは認め、反省すべきことは反省し、責任を取るべきです。
FAQ.
Q1. ソウル市はなぜMBCの報道を庁内向けの報道クリッピングから除外したのですか?
ソウル市は、MBCによるGTX-A・サムスン駅区間の鉄筋欠落疑惑やソソムン高架の安全性に関する報道について、事実関係の確認が不十分で、政治的に偏っていると判断しました。そのため、公務員に配布する庁内向けの報道クリッピングからMBCの報道を除外しました。
Q2. MBCや報道団体は今回の措置をどう見ていますか?
MBCや報道関係者は、今回の問題には報道への報復、あるいはメディア弾圧の性格があると主張しています。報道内容に問題があるなら、言論仲裁委員会への申し立てや法的手続きを通じて争うことができるにもかかわらず、行政機関が直接、特定の報道機関を排除したのは不適切だという立場です。
Q3. 今回の論争の核心は何ですか?
最大の争点は、ソウル市に特定の報道機関を「偏向・歪曲媒体」と規定し、行政的に排除する権限があるのかどうかです。ソウル市は庁内参考資料の運用にすぎないと説明していますが、批判する側は公権力を利用したメディアへの圧力だと受け止めています。
Q4. 報道に問題がある場合、本来どのような手続きを取るべきですか?
一般に、報道内容に虚偽事実や名誉毀損の問題があると判断した場合は、訂正報道請求、反論報道請求、言論仲裁委員会への申し立て、民事訴訟、または刑事告訴などの制度的な手続きを利用します。こうした過程で事実関係や責任の有無について判断を仰ぐことが、民主主義国家における一般的な解決方法とされています。
Q5. 今回の事件は、今後のソウル市とメディアの関係にどのような影響を及ぼす可能性がありますか?
今回の論争は、地方政府とメディアの対立をめぐる新たな事例とみられています。今後の司法判断や事実関係の検証結果によっては、ソウル市の措置が正当な対応と評価される可能性もあれば、逆に報道の自由を侵害したとの議論がさらに広がる可能性もあります。また今回の事件は、公共機関によるメディア対応の基準や、報道の自由の範囲をめぐる社会的論争へと発展することも考えられます。