温情クッパ訪問日:2026年7月17日午後8時ごろ

釜山生まれの私にとって、豚肉クッパは故郷の味だ。ただ、味には少々うるさいほうなので、どこのクッパ店でも適当に食べればいい、というわけではない。
特に、豚肉特有のにおいが強く残る店のクッパは苦手で、そうした店にはまず足を運ばない。ただ、シンチャン(新昌)クッパだけは少し違う。
会社勤めをしていた頃、凡一洞(ボミルドン)にあるシンチャンクッパによく通った。香ばしくておいしいスープに加え、豚肉のにおいがなく、すっきりとした味わいをいつも楽しませてくれた店だ。現在は海雲台区の中洞へ移転したと聞いている。
そんな折、偶然知ったのが温情クッパだった。まず、釜山大学の裏門近くという場所柄、学生がよく訪れるためか、店内もカジュアルな雰囲気に整えられている。入った瞬間から、清潔で気持ちがいい。それでは味はどうなのか。続きを読んでいただきたい。
振り返ってみると、クッパという料理は実に不思議だ。華やかな盛り付けがあるわけでも、特別な食材が使われているわけでもない。それなのに、なぜか心が満たされない日には、自然とクッパ店へ足が向かう。
おそらくそれは、クッパの素朴さと、その素朴さの中に込められた手間や真心によるものだろう。温情クッパへ向かった日も、まさにそうだった。特別な理由があったわけではない。ただ、熱いものが食べたい日だった。ちょうど釜山大学の裏門近くに人気のクッパ店があると聞き、もう先延ばしにする理由はなかった。

裏門から約30メートル、温情クッパ
温情クッパは、釜山広域市金井区長田路54-1に店を構えている。釜山大学の裏門近く、通り沿いに位置する店だ。
白を基調にすっきりと整えられた店内は、昔ながらのクッパ店にありがちな暗く古びた雰囲気とはかけ離れている。テーブル数は多くなく、見たところ5卓ほどだ。
デリバリーの利用が多いようだが、店内で食事をしていても、ゆったりと落ち着いて過ごせる。
実際、ひとりで静かに食事を済ませようと訪れた学生の姿も何人か見かけた。学生街のクッパ店らしく、一人客が利用しやすい動線や座席配置も印象的だった。
もちろん、釜山大学の裏門周辺に有名なクッパ店が一軒しかないわけではない。
少し歩けば、金井洞(クムジョンゴル)の豚肉クッパのように、昔から続くクッパ通りの老舗があちこちに店を構えている。その間には新しくオープンした店も、それぞれの看板を掲げて客を待っている。
そんな激しい競争の中で温情クッパがひときわ目に留まったのは、内装や清潔感から伝わる「今どきの感覚」と、昔ながらのクッパ店が持つ「深い味わい」の両方を追求していることが感じられたからだ。
古びてはいないが、決して手を抜いているわけでもない。その中間にあるような心地よさが、この店にはあった。

メニューを前に、しばし悩む
席に着いてメニューを開くと、しばし楽しい悩みの時間が始まる。
豚肉クッパに内臓、スンデ、豚トロ? そのほかにスンデと餃子もあるのか……。あまり悩み続けると、空腹が増すばかりだ。
看板メニューだというので、豚肉クッパを注文することにした。

注文は壁に設置されたQRコードを使って行う。今やデジタルに慣れていないと、注文するのも難しい時代になったようだ。口頭で簡単に注文してもいいか尋ねてみたが、うまく伝わらなかった。
店員が東南アジア出身の人たちだったからだ。厨房でも東南アジア系の女性が何やら話しており、ベトナム出身のように見えた。韓国、それも釜山の伝統料理をベトナム人が作っているのだろうか。
おそらく料理そのものは店主が担当し、店の運営や料理の配膳などをベトナム人スタッフに任せているのだろう。
そのことは、あまり気にしないことにした。彼らが料理の味をおかしくしているわけではないのだから。

シンチャンクッパも油断できない。温情クッパの登場だ
注文してから、それほど待たずにクッパが運ばれてきた。
見た目はまさに私好みだ。豚肉だからといって、分厚くて脂身の塊が視界を埋め尽くすようなものは好きではない。整然とした、きれいなスライスがちょうどいい。
この店の豚肉はひと味違った。食べやすい大きさで、スライスの厚みもちょうどいい。タマネギをみそにつけて一緒に食べると、無理なく口に運べるサイズなのだ。
頭の中から、突然シンチャンクッパの存在が消えた。この店のスープは雑味がなく、最初に浮かんだのは「お、ここはいい」という感想だった。
本当にそう思った。これまで数多くのクッパ店を訪れたが、シンチャンに並ぶ店はなかなかなかった。それが、この店はシンチャンに匹敵する。シンチャンクッパも、うかうかしてはいられない。どうやら私は、この店の常連になりそうだ。
セルフバーも好印象

写真のとおり、ここではセルフバーを設けている。店員が基本のおかずを運んでくることはないが、カクテキを2~3個、ニンニクを1~2個だけ持ってくるくらいなら、最初から自分で取りに行くほうがいい。
セルフバーで、食べたいものを食べたい量だけ取ればいい。
写真ではうまく伝わらないかもしれないが、カクテキはしっかりといい仕事をしている。そのほか、ニラやみそ、ニンニク、タマネギもそれぞれ新鮮でおいしい。
この店の基本的な運営方針を決めた人は、かなりセンスがあるのだろう。

満足できる食事は、学生の心強い味方
釜山大学の裏門周辺は流行の移り変わりが早く、かわいくてトレンディな店が次々と入れ替わる。そんな場所で、一杯のクッパを武器に長く店を続けるのは決して簡単なことではない。
温情クッパがその場所で営業を続けられている理由は、おそらくこの「コストパフォーマンス」にあるのではないだろうか。1万ウォン前後で満足感のある食事ができ、さらに餃子やゆで豚を添えて、お腹いっぱい食べることもできる。
一人暮らしの学生、試験期間で疲れた学生、懐に余裕のない社会人1年目にとっても、負担の少ない価格帯だ。華やかな盛り付けや内装で勝負する店ではなく、基本を大切にしながら、客の財布事情まで考えてくれている店だという印象を受けた。
特に、次のような人におすすめしたい。ひとりでも気兼ねなく、温かい食事をしっかり取りたい一人暮らしの学生なら、あっさり味のクッパ一杯で十分満足できる。試験や課題で疲れ、辛いものが食べたい日には、ピリ辛のミックスクッパがぴったりだ。
久しぶりに友人と酒を酌み交わしたいなら、ビョンチョン式スンデのセットをテーブルの中央に置き、あれこれ話しながら楽しむのもいい。両親が大学を訪ねてきた日に、かしこまった店ではなくても、気楽で満足感のある食事をもてなしたいときにも、これ以上ない選択肢だろう。このように、どんな組み合わせで訪れても大きく失望することのない、さまざまな顔を持つクッパ店である。

おわりに
一杯のクッパに、そこまで特別なものがあるのだろうかと思う人もいるかもしれない。
しかし、疲れた一日の終わりや、体がひどく冷える日に口にする熱いスープは、思っている以上に大きな慰めになる。温情クッパで受けた印象は、まさにそんなものだった。決して華やかでも、飛び抜けて特別でもない。だが、誠実に仕込まれたスープとたっぷりの心遣い、そして人に向き合う温かな姿勢が一つになっている。
帰り道、満腹になったからなのか、それとも心まで温まったからなのか、足取りはいつもより軽かった。
大学街は、常に人が入れ替わり続ける場所だ。だからこそ、長くその場所にあり続ける店が一軒あることの安心感は、思いのほか大きい。大学を卒業してこの街を離れた後も、ふと熱いクッパが恋しくなる日には、きっとこの路地とこの階段を最初に思い出すのだろう。
釜山大学の裏門周辺を歩いていて空腹を感じたら、ぜひ温情クッパを訪れてみてほしい。おそらく器を空にする頃には、お腹も心も満たされているはずだ。
FAQ
Q1. 温情クッパの最大の魅力は何ですか?
A. 最大の魅力は、豚肉特有のにおいがなく、すっきりとしたスープです。釜山式豚肉クッパならではの深い味わいを保ちながら、豚肉のにおいがほとんどないため、普段はそのにおいが苦手で豚肉クッパを避けている人でも気軽に楽しめます。薄切りの肉とすっきりしたスープの組み合わせも好評です。
Q2. 釜山大学の裏門周辺で一人飯に向いているクッパ店ですか?
A. はい。店内は大きくありませんが、静かな雰囲気と清潔感のある内装で、ひとりでも食事をしやすい店です。実際に学生や会社員の一人客も多く、注文もQRシステムで簡単に行えます。
Q3. 温情クッパは手頃な価格ですか?
A. 釜山大学の学生街にあるだけに、学生でも気軽に利用できる価格帯です。1万ウォン前後でしっかり食べられ、スンデや餃子、ゆで豚などを一緒に楽しむ場合もコストパフォーマンスは良いほうです。
Q4. セルフバーはどのように利用しますか?
A. 基本のおかずは、セルフバーから好きな量を自分で取って食べる方式です。カクテキ、ニラ、タマネギ、ニンニク、みそなどを好みに合わせて取れるため、食べ残しを減らし、必要な分だけ楽しめるのが利点です。
Q5. 温情クッパはどんな人におすすめですか?
A. 豚肉特有のにおいがない、すっきりした豚肉クッパを探している人、釜山大学の裏門周辺で一人飯に向いた店を探している学生や会社員、コストパフォーマンスの良い食事を求める一人暮らしの人、そして二日酔い対策や満足感のある食事を求める人に、特におすすめしたいクッパ店です。