米次世代CCA、中国対処に向け「空中給油機・早期警戒機の防護」を担うべき
米空軍が開発を進める次世代無人戦闘システム、CCA(無人協働戦闘航空機・Collaborative Combat Aircraft)には、攻撃任務だけでなく、空中早期警戒管制機や空中給油機といった高価値の航空資産を守る防御任務も担わせるべきだとの主張が出ている。中国との潜在的な空中戦では、戦闘機の数や火力だけでなく、支援航空機の生存性が戦争遂行能力を左右する可能性があるためだ。
米シンクタンクの戦略予算評価センター(CSBA)の上級研究員グレッグ・マランドリーノ氏は、2026年9月3日に米メディア「ブレーキング・ディフェンス」に掲載された寄稿で、次期CCA事業の後続段階では、高価値航空資産の防護を中核任務に据えるべきだと提言した。
CCAは「戦闘可能な航空機」ではなく無人協働戦闘航空機
CCAはCombat Capable Aircraftではなく、Collaborative Combat Aircraftの略称だ。米空軍は、有人戦闘機と連携して作戦を遂行する半自律型の無人戦闘航空機としてCCAを開発している。パイロットの指示を受けて任務を遂行しながら、センサーや兵装を分散運用することが中核的なコンセプトとなる。
米空軍科学諮問委員会は、CCAが第5世代および第6世代の有人戦闘機とともに運用され、前方監視や空対空攻撃、電子戦など、さまざまな任務に投入できると説明している。比較的低コストで大規模な戦力を確保し、戦闘機戦力を補強する構想だ。
米空軍は2026年6月、CCAインクリメント1事業で、ジェネラル・アトミックスとアンドゥリルの機体を対象に、製造・生産関連の契約手続きを進めた。公式発表によれば、長期的には約1,000機の戦闘可能なCCAを確保する案が推進されており、2020年代末までに150機以上を調達する目標も示されている。
中国との空中戦で脆弱な高価値航空資産
米国の航空作戦は、戦闘機だけで成り立っているわけではない。空中早期警戒管制機や空中給油機は、戦場の情報を提供し、戦闘機の作戦行動半径を広げる重要な資産だ。一方で、大型機であるため探知されやすく、戦闘機のように強力な自衛能力を持たせるのも難しい。
マランドリーノ氏は「ブレーキング・ディフェンス」への寄稿で、中国人民解放軍空軍が長距離空対空ミサイルを用い、米国の高価値航空資産を脅かす可能性に注目した。こうした脅威が現実になれば、米国の戦闘機は攻勢任務ではなく、空中給油機や早期警戒機の周辺を守るために相当な戦力を割かなければならなくなる。
同氏は、国際戦略問題研究所(IISS)の2026年の軍事力に関する資料を基に単純化した計算を示し、高価値航空資産の防護任務が米戦闘機の作戦上の可用性を大きく低下させる可能性があると分析した。いわゆる「防護コスト」が増大するほど、中国の戦闘機と直接対峙できる米戦闘機の数が減るという意味だ。
次期CCAの中核任務は「HVAA防衛」
マランドリーノ氏が提案する解決策は、CCAインクリメント2の主たる任務をHVAA(High-Value Airborne Assets・高価値航空資産)の防衛に設定することだ。CCAが長距離空対空交戦能力を備え、早期警戒機や空中給油機を護衛すれば、有人戦闘機は防御任務から解放され、敵空軍に圧力をかける攻勢作戦に集中できる。
この構想は、CCAを単なる「有人戦闘機の補助機」と捉える見方とは異なる。CCAは有人戦闘機のセンサーや兵装を補完すると同時に、状況によっては独立した防御編隊を構成し、支援航空機の周辺に迫る脅威を阻止する役割も担うことになる。
米空軍が推進するオープン・ソフトウェアおよび自律化のアーキテクチャーも、こうした任務拡張に適した要素だ。米空軍は、機体と任務自律化ソフトウエアを切り離し、複数の企業が継続的に性能を向上させられる方式を採用している。任務が変わっても、センサーや電子戦装備、兵装システムをモジュール方式で統合できる余地が大きい。
攻撃と防御を切り替える柔軟性が鍵
CCAを対中国戦力として定着させるには、攻撃と防御を別々の任務として設計するだけでは不十分だ。戦闘の初期段階では敵の航空戦力や長距離脅威を探知し、その後は有人戦闘機とともに空対空攻撃に移行する。必要に応じて空中給油機や早期警戒機を守るなど、任務を切り替える能力が求められる。
ただし、CCAの自律化レベルとデータリンクへの依存度は、依然として解決すべき課題だ。中国との紛争では、電子戦と通信妨害が同時に発生する可能性があるため、通信が制限された状況でも、最低限の探知・回避・防御任務を遂行できる設計が重要になる。
CSBAは、CCA事業は技術開発だけで完成するプログラムではなく、配備・運用構想・訓練・整備・生産体制を一体的に準備する必要があると評価している。結局のところ、CCAの成否は機体そのものの性能だけでなく、どの任務を優先して付与し、有人戦力とどのように組み合わせるかにかかっている。
米CCA事業、次の段階は任務の再設計
米空軍のCCAはすでに、有人戦闘機の戦闘力と作戦行動範囲を拡大する方向で開発が進められている。しかし、中国との長距離空中戦では、戦闘機の数を増やすだけでは十分ではない。空中給油機や早期警戒機の生存性が確保されなければ、米国の航空戦における指揮・統制システムそのものが弱体化する可能性があるからだ。
したがって次世代CCAには、空対空攻撃だけでなく、高価値航空資産の護衛、長距離迎撃、電子戦支援、前方監視を統合した複合任務が求められる。マランドリーノ氏の提案は、CCAを「攻撃用無人戦闘機」から「米国の航空作戦全体を守る分散型防御ネットワーク」へと拡張することを意味する。
中国の軍拡に対処する米国の課題は、より強力な単一プラットフォームを開発することにとどまらない。有人機と無人機、センサーと指揮統制システムを一つの戦闘システムとして統合する必要があり、その過程でCCAの防御任務を早期に設計することが重要な要素になるとみられる。
よくある質問(FAQ)
CCAとは何ですか?
CCAはCollaborative Combat Aircraftの略称で、有人戦闘機とともに作戦を遂行する無人協働戦闘航空機を指します。パイロットの指示を受けて半自律的に飛行し、監視、空対空攻撃、電子戦などの任務を担うよう開発されています。
米国のCCAは一般的な無人機と何が違うのですか?
CCAは、単純な遠隔操縦式の偵察機ではなく、有人戦闘機とのチーム運用を前提に設計されています。戦闘機とセンサーやデータを共有し、状況に応じて攻撃や防御の任務を遂行する点が特徴です。
なぜCCAは空中給油機や早期警戒機を守る必要があるのですか?
空中給油機や早期警戒機は、戦闘機の作戦行動半径と戦場認識を左右する重要な資産です。これらが攻撃を受ければ、戦闘機戦力の作戦範囲と指揮統制能力が同時に低下する可能性があります。
CCAインクリメント1とインクリメント2の違いは何ですか?
インクリメント1は、米空軍が先行して戦力化を目指す初期CCA段階で、有人戦闘機との協働や空中戦能力の確保に重点が置かれています。インクリメント2は、具体的な機種や任務がまだ確定した段階ではありませんが、高価値航空資産の防衛といった新たな任務が議論されています。
CCAは中国のサイバー攻撃も直接防げるのですか?
CCAの主な任務は航空作戦であり、サイバー攻撃を直接防御するシステムに分類されるわけではありません。ただし、電子戦や通信防護、分散型データリンクを通じて、通信妨害や電磁波脅威の下で作戦を継続する能力を高める役割は果たせます。
米国はCCAをどれほど確保しようとしているのですか?
米空軍は、長期的に約1,000機の戦闘可能なCCAを確保する計画を示しています。初期のインクリメント1事業では、2020年代末までに150機以上を確保する目標が公表されています。